アンリ・ド・レニエは永井荷風が愛したことで知られていますが、日本にファンが結構いたと見えて、オークションに別々の出品者から1点1点と出てきます。それもきれいにルリュールした本ばかりです。その都度、落札していたら、これでレニエのルリュール本は6冊になりました。少々高いですが、フランスまで買いに行くことを思えば安い。
HENRI DE RÉGNIER『Couleur du Temps』(MERCURE DE FRANCE、1909年、3310円)→中期の短篇小説集。
店買いでは、梅田の新刊屋T書店が「夏の古書市」というのをやっていると知って、麻雀会のついでに行ってきました。この店は朝7時からやっているという勤勉なお店で、大阪には珍しくお洒落な雰囲気、店員もフレンドリーで好感が持てました。古書コーナーには、フランス語の本もたくさん出ていて、『Rocambole』やJoséphin Peladan『A cœur perdu』が出ていましたが少々高いので敬遠。アルベルトゥス・マグヌスはレジまで持って行って袋を開けてもらい中を見ましたが、とても読めそうになかったので断念。で、結局、下記を購入。
石黒敬七『三色眼鏡』(岡倉書房、昭和26年4月、648円)→巴里物。とてもきれいな状態で嬉しい。
戸川秋骨『朝食前のレセプション』(第一書房、昭和14年8月、756円)→随筆集。「古典の外国語譯」「與謝野さん一家を語る」「内田魯庵君」など。
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オークションでは、一カ所の出品者から下記3点を落札。ここはいつも安価に提供いただいていて、かつ二冊を同封して送ってくれるところ。
『名作挿画全集 第四巻』(平凡社、昭和10年9月、530円)→水島爾保布の「聊斎志異」挿絵、竹中英太郎の江戸川乱歩「陰獣」の挿絵、ほかに岡本一平、中川一政など、11名の画家を取りあげている。文章の一部も掲載されていて雰囲気がある。
鷲谷七菜子『古都残照』(牧羊社、昭和62年10月、100円)→倉坂鬼一郎の『怖い俳句』を読んで、「浴びる月光身の奥何か壊れゆく」、「ちがふ世の光がすべり芒原」、「眼のごとき沼あり深き冬の山」 の三句に惹かれた。
井上源一郎『ガリシスムの研究』(白水社、昭和5年8月、100円)→少しは仏語読解のヒントになるかと思い。ガリシスムとはフランス語ならではの表現のことらしい。
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別のオークションにて、
「たまや 追悼:種村季弘」(山猫軒、06年2月、1200円)→昔渡辺一考さんの赤坂のお店で、種村季弘さんと隣り合わせになったことがあった。その渡辺一考さんが思い出を書いていたので。なかなか洒落た雑誌だ。