:珍しい本と格安本

 前回古本報告から1ヵ月近く経ちました。今回は冊数は少ないですが、珍しい本と格安本の報告があります。すべてヤフー・オークションでの購入です。まず珍しい本の筆頭は、
ジェラアル・ドゥヴィル平野威馬雄譯『赤ちゃん』(若い人社、昭和18年10月、300円)→著者はマリ・ド・エレディアの娘にして、アンリ・ド・レニエ夫人。詩人として活躍したとは聞いてましたが、こんな本があり、かつ訳されていたのは知りませんでした。前にも書いたと思いますが、レニエの弟子たちと次々不倫を重ね、ピエール・ルイスと三角関係となりかつルイスの子どもを生んで、夫を苦しめた悪い女という印象があります。「赤ちゃん」というのはその時の子、ティグル・レニエのことでしょうか。

 次は、
菱山修三『繪のなかの乙女』(春陽堂昭和17年3月、1000円)→これも詩人、フランス詩の訳者としてしか知らなかった。小説も書いていたとは。随筆的味わいの短篇が11篇集められている。

 その次に来るのは、下記の2点でしょうか。
小平武訳『ブローク詩集』(彌生書房、79年7月、1800円)→これもおそらく今日本では詩劇『薔薇と十字架』ぐらいしか流通していない詩人の初期の象徴主義的抒情詩が収められている珍しい詩集(と思う)。
畑喜代司編『純情詩選 夢の花束』(資文堂書店、昭和4年6月、570円)→昭和文庫というシリーズの一冊。このシリーズも見るのは初めて。加藤まさを、川路柳虹北原白秋西條八十佐藤春夫堀口大學三木露風水谷まさる等や海外の詩も少し。
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 格安本は、何といっても
ジョン・エルスナー/ロジャー・カーディナル編高山宏/富島美子/浜口稔訳『蒐集』(研究社、98年11月、10円)→値段が安かったのは、かなりのページにわたって鉛筆による書き込みがあったためで、全部消しゴムで消し去るのに1〜2時間を要しました。時給800円とすると1000円以上で買ったことになる。

 他は、
フィリップ・ジャコテ後藤信幸訳『冬の光に―附 雲の下の想い』(国文社、04年1月、500円)→これも比較的安くまた珍しい。
ピエール・ギロー佐藤信夫訳『文体論―ことばのスタイル』(白水社、75年5月、280円)
吉田精一『随筆入門』(新潮文庫、昭和51年6月、180円)
柳田國男『なぞとことわざ』(講談社学術文庫、昭和51年12月、150円)