:新年古本報告第一弾!

 オークションとネットで、新年にふさわしく、探求書や珍しい本を入手することができました。


 何と言っても、久保和彦『帰還(遺稿集)』は、こんなものがあったのすら知りませんでした。ネットの強みと言えましょうか、検索でヒットしたものです。一つの函のなかに遺稿集と追悼文集の2冊が入っています。なかなか豪華な本です。
 久保和彦は、『夕べの窓』という随筆集がとても気に入っていて、他に何かあれば読みたいと熱望しておりました。トラークルやシュヴァイツァーを訳しているということだけその本の筆者紹介で知っているのみで、どんな人かよく分からなかったのが、全貌がこれでようやく分かります。若き日のトラークル風?の詩も収められています。楽しみです。


 花崎采琰は、日夏耿之介を中心とした同人誌「古酒」のメンバーで、漢詩の味わい深い翻訳が気になっておりました。宋時代の詩(正確には詞というらしい)を集めたもの。タイトルは欧陽脩という人の「涙眼(なみだぐみて)花に問う花語らず 乱紅(はなびら)みだれみだれて鞦韆をこえて飛びも過ぎつれ」から取ったもののようです。あとがきに「日夏耿之介先生には訳詩に御眼を通して頂いたことを幸せと謹んで感謝し」という言葉がありました。


 木村太郎『詩と信仰』は本のタイトルに惹かれて購入しましたが、木村太郎という人はフランス文学者のようで、シャトーブリアンボードレール、ベルナノス、デュアメル、クロオデルなど、フランス文学とキリスト教の接点についての論考が収められているようです。


 田辺貞之助の『現代フランス文法』は、一生懸命フランス語の本を読んでもなかなか文章の細かいところが味わえない、というかそれ以前に大きく誤読をしている可能性があるという危惧から、もう一度文法をしっかり勉強しないといけないという思いに駆られて購入しました。実際にはちょこっと参考に垣間見る程度だと思います。758ページもある大部の本で、最近復刊されたようですが、比較的入手し易いお値段で購入しました。


以下、購入本です。
木村太郎『詩と信仰』(公教社、昭和24年2月、300円)
花崎采琰『涙眼集』(四季社、昭和29年11月、1000円)
田辺貞之助『現代フランス文法』(白水社、63年10月、1600円)
久保和彦『帰還Wiederkehr』(皆美社、93年2月24日、1800円)
林哲夫『古本デッサン帖』(青弓社、01年7月、610円)


 「古本購入記録には価格は必須だ」と、われわれ古本倶楽部の総帥が常日頃言っておりますので、価格を掲載することにします。この価格を古本購入の参考にしていただきたいと思います。