古本買いもそろそろ店じまいか

 4月で72歳になろうかというときに、性懲りもなく、せっせと古本を買いためているのはどうかなと思うこの頃です。20年ぐらい前は、古本市で倒れそうになりながら本に顔を近づけている老人を見かけていたのに、最近はそういう老人を見かけないなと思っていたら、自分がその老人の姿になっていることにハタと気がつきました。日ごろ理解ある家内からも、そろそろ買うのを止めたらと言われる始末。まわりの古本仲間も世を去ったり、買うのを控えたり、まるで煙草仲間が一人ずつ禁煙して行ったときのような寂しい気持ちです。しかし、絶古本宣言するほどの勇気もないので、少しずつ減らす努力をすると言うに留めておきましょう。(と言いながら、昨日も一冊落札してしまった。まだ手元に来ないので次回報告)。

 2月は古本市も行かず、古本屋もほとんど行きませんでした。残念なのは、奈良へ出るたびに立ち寄っていたフジケイ堂が、もちいど商店街、小西桜通りの2店とも2月20日で閉店したことです。そんなわけで、ヤフーオークションと「日本の古本屋」で買ったのみ。

 いちばん高い買い物は、大学時代持っていて卒業するときに友人にプレゼントしたか売り飛ばしたかした下記の本。
前川道介『ドイツ怪奇文学入門』(綜芸舎、昭和40年11月、3000円)
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 少し珍しいのは、デュマがネルヴァルについて書いた本。回想なので読みやすそう。中のタイトルは「La mort de Nerval(ネルヴァルの死)」となっていて、ネルヴァルが、ヴィエイユ・ランテルン(古角灯)通りで首を吊ったという一報を聞いて、駆けつける場面から書き起こしている。
ALEXANDRE DUMAS『Sur Gérard de Nerval―Nouveaux Mémoires』(Complexe、90年3月、800円)
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 次の2冊は古本好きの友人から勧められたので、買ったもの。小津夜景氏はフランス在住の俳人とのこと。
小津夜景『漢詩の手帖 いつかたこぶねになる日』(素粒社、20年11月、1380円)
東直子/佐藤弓生/石川美南『怪談短歌入門―怖いお話、うたいましょう』(メディアファクトリー、13年、9月、1000円)
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 古本と接していて、有益なことは、知らない作家と出会えることでしょう。今回は帯に引用されていた「人間の袋のみが歩いてくる/カサカサと風に鳴りながら町を」とか「巨いなるスフィンクスの鬚返せよと/久しき恨みかれら言ひいづ」が気に入って。
『初期 永田典子作品集』(短歌新聞社、平成16年11月、600円)
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 戦前の日本の幻想絵画の図録を買いました。こんな展覧会があったことは知りませんでした。シュールレアリスムの影響が濃厚。惹かれた画家は、浜田浜雄、浅原清隆、難波田龍起、米倉寿仁、北脇昇といったところでしょうか。
『地平線の夢―昭和10年代の幻想絵画』(東京国立近代美術館、03年、800円)
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 その他は下記の本を購入。
清水茂『冬の霧』(舷燈社、98年11月、600円)
服部正編『書物の王国⑦ 人形』(国書刊行会、97年12月、772円)
柳瀬尚紀『ノンセンソロギカ―擬態のテクスチュアリティ』(朝日出版社、昭和53年10月、577円)
荻野昌利『さまよえる旅人たち―英米文学に見る近代自我〈彷徨〉の軌跡』(研究者出版、96年5月、810円)
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