ゲルンスハイムのピアノ五重奏曲とチェロ協奏曲

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 昨年秋に、ゲルンスハイムのヴァイオリン協奏曲について書きましたが、その後昨年末に、注文していたゲルンスハイム関係のCDが三枚届きました。
『The Piano Quintets』(Oliver Triendl Pf.、Gémeaux Quartett)(cpo777 580-2)
『THE ROMANTIC CELLO CONCERTO 2』(ALBAN GERHARDT Vc.、HANNU LINTU Cond.、RUNDFUNK-SINFONIEORCHESTER BERLIN)(hyperion CDA67583)
『Complete Cello Sonatas』(Alexander Hülshoff Vc.、Oliver Triendl Pf.)(cpo555 054-2)

 このうちチェロソナタは、1番の第1楽章と、チェロとピアノのためのアンダンテという曲に惹かれたものの、他はあまり心に響かなかったので、もっぱら二つのピアノ五重奏曲とチェロ協奏曲を聴いております。1枚だけ推薦するとしたら、ピアノ五重奏曲をお勧めします。チェロソナタにも名曲はあるので、一般化はできないと思いますが、ピアノ五重奏曲の方が、弦に厚みがあって、かつそれぞれのパートが独奏する場面もあり、変化に富んで聴きやすいということがあるように思います。今回も弦の低音のユニゾンの上をピアノがコロコロと飛び跳ねるところは五重奏曲ならではと感じました。

 ピアノ五重奏曲は、第1番の第4楽章と、第2番の1楽章、2楽章がとりわけ気に入っていますが、全体としても耳に入りやすいメロディが多く、まとまっています。第1番は1楽章の浪漫派的な心の揺れを感じさせる冒頭に続いて流れるようなメロディが連綿と織りなされ、2楽章はアンダンテで物静かですが次第に高まっていく曲想がすばらしく、4楽章は、1分30秒あたりから弦に続いてピアノで演奏されるメロディがとりわけ美しい。これは後半でまた繰り返されます。第2番は、1楽章の1分50秒あたりからやはり弦、ピアノの順で奏されるメロディが何とも愛らしい。引用できないのが残念。2楽章はアダージョ楽章なのに、ほの暗い情念の渦巻くようなフレーズが弦のトレモロに乗ってピアノで奏でられる部分、凄まじさがあります。

 チェロ協奏曲は、チェロの歌うようなパッセージに特徴があり、色彩的な響きのオーケストラと掛け合いながら次々と展開する曲の流れに魅力があります。3つの楽章が切れ目なく続く形で、全体も14分足らずの小品です。とくに第2楽章のラルゲットが、なだらかな優しさに包まれたメロディで心地よく、また1楽章、3楽章は取り立てて美しい部分があるという訳ではありませんが聞きやすく、曲全体としてメリハリが効いた秀作と言えましょう。このチェロ協奏曲のアルバムでは、他に、フォルクマン、ディートリッヒ、シューマンの3人のチェロ協奏曲が収められています。シューマンはもちろんですがいずれも佳品で、ディートリッヒのチェロ協奏曲がなかでは秀逸。


 酔っ払って電車に乗って帰るときに、音楽を聞くのが至上の幸せと以前も書いたように思いますが、最近コロナ禍でそういうことも減ってきたので、最近のマイブームは、携帯スピーカー(スマートスピーカーと言うみたい)をお腹に抱えてソファで寝っ転がって聞くことです。それで居眠りしたりなんかすると最高の気持よさ。