:たにまち月いち古書即売会ほか

 痛風の足の痛みもかなり和らいできました。これなら大丈夫と、久しぶりの飲み会に出席がてら、標記古本市を覗いて来ました。最終日にもかかわらず、まずまずの収穫。一番手は、
大河内孝『伽羅の夢』(新樹社、昭和52年11月、300円)→日夏耿之介の黄眠門下の一人。珍しいのが安値で手に入った。「月光 老僧に捧ぐと/白絹の夢の糸を紡ぎ/花の香慕情ひそやかに/木蘭色(じき)の袈裟を縫ひし/若き尼僧の指先かなし」(「月光頌」部分)

 次は、
平田禿木『英文學随筆 爐に凭りて』(文体社、昭和9年1月、1000円)→800部限定。装幀がなかなか凝っている。岩本柯逭という人。「エドワアド・フイツジエラルド」を収める。

 以下、
河村錠一郎マニエリスムバロック』(青土社、88年1月、800円)→翻訳本に比べて読みやすそう。
滝口修造『幻想画家論』(新潮社、昭和34年1月、300円)→裸本なので安い。
遠藤敏雄『英文学に現れた色彩』(プレス東京、昭和46年3月、300円)
高橋和夫『日本文学と気象』(中公新書、昭和53年8月、200円)→上記の本もそうだが、文学を何かの切口で語った本が面白い。
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 飲み会まで時間が余ったので、足を延ばして上六のI文庫へ。相変わらず100円均一の棚が充実していて、他にもあったが荷物になるので控えたぐらい。ここでの収穫は、
吉江孤雁『マーテルリンク評傳』(冬夏社、大正11年6月、100円)→訳者による解説に続き、評伝二種の翻訳とメーテルリンクの小品「小兒の虐殺」と批評一篇の翻訳を収めている。

 他、
M・ブランショ重信常喜/橋口守人訳『虚構の言語―火の部分Ⅱ』(紀伊國屋書店、69年10月、100円)→収められていた「文学における神秘」というのが気になった。
杉山平一『現代詩入門』(創元社、88年12月、100円)→この人の本は何冊か読んでいてたぶん同じようなことが書いてあると思ったがとりあえず安いので。
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 オークションでは、
『比較文學研究41』(朝日出版社、82年4月、500円)→ここしばらく探していた本。遠山博雄という人のローデンバッハについての論考を収める。
高木敏次『私の男』思潮社、15年9月、348円)→新品同様。『傍らの男』に引き続き、不思議な味わいの詩集。
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