:ようやくアスタルテ書房へ

 一昨日、アスタルテ書房へ行ってきました。開店時間の2時半に到着しましたが開いていず、また空振りかと猛暑の中しばらく道で見張っておりましたら、それらしき人が建物の中に入って行ったので、少し間を置いて店に入りました。その後すぐお客さんが続々と入ってきて、またたくまに5〜6人になりました。半額セールが始まって1ヶ月経っているので、棚も四分の一ぐらいすかすかした状態で、めぼしい本は買われてしまっているようでした。

 そんな中で生田耕作氏の蔵書の一冊が特筆すべき収穫。
アレクサンドル・デューマ福岡雄川譯『地獄谷』(白水社大正11年7月、9000円)→フランシス・ラカッサンがデュマの超自然譚としてあげていた作品。本の見返しの部分に生田氏のこんな書付がありました。「翻訳書ニハ珍シク達意流暢ノ文章ナリ。原著者Dumasマタ力量モトヨリ凡手ナラズ。依ツテ校訂新版ノ刊行ヲ企テシモ、原文ト照合スルニ余リニモ省略部分多ク、誤訳個所モ少ナカラズ。補訂作業ノ難儀ナルヲ予想シ中途ニテ止ム。K.I.」。おそらく生田氏が参照したと思われる原書『Le trou de l’enfer』も生田氏旧蔵書で所持しています。元値は18000円で半額でも9000円と高くつきましたが、この書付もあることだし、亡き店主へのご香料代わりにと奮発しました。
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 アスタルテでは他にも下記三冊を購入。
「るさんちまん第三号 特集:デカダンス」(エディション・イレーヌ、昭和63年7月、1890円)→山崎俊夫エドガー・ソータルス、ジェームス・ハネカー、ユーグ・ルベル、生田氏日記等。
山本淳一アレゴリー文学の伝統とLe Songe d’Enfer』(外国文学研究抜刷、50円)→生田氏への献呈本。
Frédéric MALLET『Pierre LOTI―son œuvre』(NOUVELLE REVUE CRITIQUE、23年、50円)
 お店は9月の終わりごろまでは続けるようなことを言っておられました。
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 他には、先日のヴィエニアフスキのコンサートへ出かけた日に、たにまち月いち古書即売会に立ち寄り、下記を購入。
関野準一郎『版画を築いた人々』(美術出版社、昭和48年5月、800円)→関川左木夫の『本の美しさを求めて』で紹介されていた。近代日本の版画家が網羅されている。
ジェフリー・フォード田中一江訳『シャルビューク夫人の肖像』(ランダムハウス講談社、06年7月、500円)→「『姿を見ずに肖像画を描いてほしい』その奇妙な依頼は画家を虜にする・・・」という惹句にひきつけられて。
梅田英俊『嘘曼荼羅』(角川文庫、昭和60年11月、200円)→無気味な挿画と諷刺的な小文のセット。あまり見たことのない文庫本。
朝比奈隆『楽は堂に満ちて』(中公文庫、95年11月、200円)
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