:オークション、ネット購入の陥穽

 以前も一度書いたような気がしますが、オークションやネットで、本のタイトルや、著者の名前だけを頼りに買うと、どえらい失敗をすることがあります。今回も、『ブロッケン山の妖魔』の著者というだけで、下記の本を買いました。『山岳征服冒險記』というタイトルからなにか冒険小説のような気がしたのが失敗のもと、同姓同名だといけないので、ちゃんと『ブロッケン山の妖魔』のあとがきでこの本が書かれていることを確認してから入札したのに、送られてきた本を見ると、子ども向きの登山史の本でした。二人の行方不明者を出したエヴェレスト登頂の話やザイルが切れたマッターホルンの悲劇など、これはこれで面白そうな読物のようですが、私の期待していたような話ではありませんでした。オークションでは未見の本を買うのは禁物です。
久野豊彦『山岳征服冒險記』(大日本雄弁会講談社昭和12年8月、1150円)

 あとオークションでは、
松井邦雄『ビギン・ザ・ビギンの幕があがる』(筑摩書房、93年3月、400円)→この人の本には大人びたヨーロッパの哀愁が漂っていて好き。
富士川英郎『續々・思出の記』(私家版、平成5年7月、510円)→これはわずか18ページの冊子だが珍しいものだと思う。
REMY DE GOURMONT『Une Nuit au Luxembourg』(MERCURE DE FRANCE、23年、300円)→上記の本と同じ出品者だったので、ついでに。幻想小説と期待して。
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 堺筋本町のT書店には、いま幻想小説コーナーがあり、そこで、下記の3冊。
ドイツ・ロマン派全集19前川道介他編『詩人たちの回廊―日記・書簡・回想集』(国書刊行会、91年7月、1400円)→このシリーズは小説はほとんど持っているが、これはこれまで敬遠していた。最近の回想趣味の影響で。
富士川義之編『吉田健一―饗宴』(国書刊行会、92年12月、540円)
私市保彦『フランスの子どもの本―「眠りの森の美女」から「星の王子さまへ」』(白水社、01年2月、1080円)
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 同じT書店の均一コーナーで、
森英樹『パルナッシアン詩句抄―忘れられた詩人たちのメッセージ』(青山社、94年3月、520円)→フランス語の原詩とその対訳が載っていれば買わずにはおられない。これは病気か。
李家正文『水車史考』(雪華社、昭和60年9月、520円)→この人の本も読まずに持ってるだけだがずいぶん集めた。
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