:このごろよく聴いているCD「ヒーリング・ヴォイス」。通販あなどるべからず。

 友人から、「ときどき音楽」の「音楽」が最近ないようだがと言われたので、音楽の話題を少々。
 このところ、家内がテレビコマーシャルの通販で買ったCDセットをよく聴いています。

「Healing Voiceヒーリング・ヴォイス全5巻」(ユニヴァーサルミュージック制作、ショップジャパン販売)
1巻

 通販あなどるべからず。選曲がすばらしく、静かな雰囲気のなかで情感が次第に盛り上がっていくという私の好きな感じの曲がたくさん入っています。全90曲。

 三分の一近くが知らない曲でした。なかでもエンリオ・モリコーネの曲は「ラ・カリファ」「アイ・ニュー・アイ・ラヴド・ユー」「ネッラ・ファンタジア」「シネマ・パラディーゾ」の4曲が収録されていましたが、どれも素晴らしい。

 ほかにも「ダニーボーイ」をアレンジしたというがまったく新しい装いの「ユー・レイズ・ミー・アップ」、曲はよく聴いたことがあるが歌声がすばらしい「アマポーラ」、マオリ族の歌「ポカレカレ・アナ」、CDで聴いていた時はそれほど感じなかった『オーヴェルニュの歌』の「バイレロ」、エリック・クラプトンが愛児の死を悼んで作った「ティアーズ・イン・ヘヴン」など。

 歌手についても、フィリッパ・ジョルダーノやサラ・ブライトマン、ヘイリーはCDも持っていてよく聴いていましたが、このアンソロジーには、私の知らなかった歌手がたくさん入っていました。シセル、ブレイク、キャサリンジェンキンス、シークレット・ガーデン、カナディアン・テナーズなど。

 どの辺が惹きつけられたかというと、やはり楽器とは違った人間の声の美しさです。例えばこれまで器楽で聴いていた曲でも、3巻目のヴィヴァルディ『四季』の「冬」をもとにしたヘイリー「リヴァー・オブ・ドリームス」や、ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」をもとにした同じくヘイリー「ネバー・セイ・グッバイ」、ショパン「別れの曲」をもとにしたシセル「トリステーゼ」などは、まったく別の魅力を持った曲として感じられます。

 もうひとつ魅惑を醸し出しているのが、装飾音符、いわゆる西洋風こぶしで、微妙なところで揺れ動くがたまりません。シセル「アヴェ・マリアシューベルト)」、ヘイリー「私を泣かせてください(ヘンデル)」、ナナ・ムスクーリ「アマポーラ」など。

 また伴奏の楽器のすばらしさ。「レイズ・ユア・ヴォイセズ」や「ユー・レイズ・ミー・アップ」のバグパイプ(?だと思う)の節回し、「ラ・カリファ」で挿入される弦楽ソロなども、情感を盛り上げてくれます。