:オークションで探求書を購入ほか

 探求書をリストアップして持ち歩いておりますが、なかなかお目当ての本に出会うことはありません。ネット古本屋には出ていても値段が折り合わずで。

 ところが今回は、オークションで、作家名を打ち込んで検索したところ、下記の二冊にヒットし競合相手が現われずに落札できました。
齋藤潔『詩集 利休』(赤門書房、昭和18年7月、1000円)→日夏耿之介の序文有、校閲でもお世話になったとあとがきに書いてある。また茶の湯の詩集として本邦初の試みとの言葉もあり。紙質といい活字といいどこかわびさびを感じさせる。
松村武雄『異端者の對話』(二松堂書店、大正12年1月、1000円)→神話伝説学者の随筆集。本業の心的緊張を解きほぐすための筆のすさびと序文にある。「精神分析學より見たる文藝」「趣味眼より見たる探偵小説」「舊約と新約との異端的考察」など目次は面白そう。

 常時出品をチェックしているいつものK書房では格安で下記を購入。
ジョバンニ・パピニ相川正義訳『愛と死と夢を凝視めて』(情緒刊行会、昭和57年3月、460円)→ボルヘスの「バベルの図書館」に『逃げていく鏡』が入っているパピーニの自伝のようだ。
渡邊一民『西欧逍遥』(講談社、78年9月、100円)


 店頭買いでは、京都での会合へ行く途中大阪へ立ち寄り、いつもの堺筋本町T書店で、
吹田順助『分水嶺』(南江堂、昭和37年5月、480円)→限定300部のうち39番、ただし裸本
若林光夫譯『カロッサ全集Ⅹ イタリア紀行』(養徳社、昭和25年11月、200円)

 京阪を寝屋川で途中下車してK書房。実はわざわざ大阪経由にしたのは、このK書房へ立ち寄るためだったのです。古本仲間からこの店に行けば必ず何か発見できると推薦されていたので。その言葉どおり、発見がありました。
ヴオルテール三谷幸夫譯『オダリスク』(操書房、昭和23年12月、1200円)→見たこともない本。小田光雄氏のブログによると訳者三谷幸夫は松村喜雄ペンネームとある。ヴォルテールの作品をネットで検索すると、1923年に「Bibliotheque des curieux(好事出版社)」の「Les Maitres de l'amour(愛の巨匠叢書)」のヴォルテール作品集の中にodalisqueなる作品が入っているが、何となくいかがわしい。別人の作か。
藤沢衛彦『日本艶歌考』(啓松堂、昭和8年2月、800円)
W・S・ギブソン佐渡谷重信訳『ボス―光と闇の中世』(美術公論社、89年10月、1200円)
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