:水の都の古本展ほか

 関東以北は大変なことになっていて、こんな非常時に、のんびりした話は後ろめたい気もしますが、生駒の里にもそのうち影響が出てくるに違いないので、今のうちに羽を伸ばしていようと思います。

 前回ご報告(3月1日)以降、またたくさん買い込んでしまいました。

 大阪の中央公会堂で行なわれた「水の都の古本展」は、今年で2回目だそうで、小規模ですが興味津々行ってまいりました。会場に早く着き久しぶりに(神保町の古書会館以来か)開場待ちの十数名の列に加わりました。


 最大の収穫は、長年探していて、現物を見たこともなければ、古本検索で文字すら見たことのない下記の本を安く入手できたことです。
宇佐見英治『ピエールはどこにいる』(東京創元社昭和32年10月、500円)

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  函                本体

竹友藻風『冬扇帖』(文体社、昭和9年3月、1000円)
は函入り、とても状態がよい割りに安く、これも収穫品です。


 フランスの「Le Masque」というミステリーのシリーズが十数冊出ていましたが、そのうち面白そうなものを3冊だけ購入。2冊は英語からの翻訳ものです。

ANDRÉ SAINT-BRIAC『L’ÉNIGME DE LA CROIX SAINTE-ANNE』(LIBRAIRIE DES CHAMPS-ÉLYSÉES、76年1月、300円)
LEONARD HOLTON Traduit par JOSETTE AUGÉ『LES ANGES ONT DES PROBLÈMES』(LIBRAIRIE DES CHAMPS-ÉLYSÉES、72年3月、300円)
COLIN ROBERTSON Traduit par IRÈNE CHEZE-CONVARD『LES DIAMANTS VERTS』(LIBRAIRIE DES CHAMPS-ÉLYSÉES、71年9月、300円)

 他に
『那珂太郎詩集』(思潮社、68年11月、400円)
のんびりお茶でもということが最近ないので、せめて本の中だけでもと思い、レジへ行く直前に、下記も購入。
井上俊子編『想い出のカフェ―ドゥマゴからの贈り物』(Bunkamura、94年9月、700円)


 会場で古本仲間と落ち合い、一緒に大江橋T書店へ行きました。そこで、下記2冊を購入。
山村嘉己『象徴主義は死なず―フランス象徴主義詩史概説』(青山社、95年6月、1200円)
西條八十『唄の自敍傳』(小山書店、昭和31年7月、1200円)
西條八十の本は函にのぞき窓がついていて、なかの本の表紙絵が一部見える仕掛けになっています。

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函                 本体


 友人と別れて、帰り道堺筋本町T書店にて、下記2冊を購入。
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    函                 本体

『定本 阪本越郎全詩集』(彌生書房、昭和46年6月、980円)→装幀がなかなかよろしい
粕谷栄市『遠い川』(思潮社、10年10月、980円)→昨年話題となっていた詩集。前回報告の高柳誠といい、新しい詩集が最近よく手に入る。


 別の日、自転車で散歩がてら近所のBOOK-OFFで、
北村薫『詩歌の待ち伏せ2』(文春文庫、06年3月、105円)
ブログ「qfwfqの水に流して―Una pietra sopra」でこの本のことが書かれていて、面白そうだったので、購入。

 麻雀会のため大阪へ出た折、いつもの大江橋T書店が200円均一だったので興奮して棚に駆け寄りましたが、文庫本が半分ぐらいでがっかりしました。しかし文庫本は文庫本でも、ガリマールの詩の叢書が大量(40冊ぐらいか)に出ていました。知らない作者が結構いましたが、1冊ずつ丁寧に詩のいくつかを読んでみて、読めそうだと思われるもの、すなわち1行の音綴数が短く、詩行の数も少なく、単語も易しそうなもの、散文詩などはもってのほかという基準で、下記の6冊を選びました。
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Henri Thomas『Poésies』(Gallimard、70年4月、200円)
Pierre Reverdy『Sources du vent 附La balle au bond』(Gallimard、71年5月、200円)
Maurice Fombeure『A dos d’oiseau』(Gallimard、71年5月、200円)
Paul-Jean Toulet『Les Contrerimes』(Gallimard、79年9月、200円)
Robert Desnos『Corps et biens』(Gallimard、80年10月、200円)
Charles Cros『Le Coffret de santal』(Gallimard、82年4月、200円)
他に下記を購入。

鷲巣繁男『靈智の歌』(思潮社、78年1月、200円)→何でこんなに安いのでしょうか。

今回は、オークションでの購入が少なく、2冊だけでした。
石田波郷清瀬村』(角川文庫、昭和31年6月、540円)→俳句の文庫本ばかりを11冊入札して1冊しか落札できなかったと、前回ご報告したその本です。
杉田英明『日本人の中東発見』(東京大学出版会、95年6月、400円)