:大阪クラシック第50公演「Piano Spectacular-Almost Mozart」


 先日、ザ・シンフォニーホールで行われた標記コンサートに、友人からチケットをいただいて、一緒に行ってまいりました。

 座席は舞台を上手側から覗き込むようなRBの席、私の好きな席でした。

 タイトルの「Almost Mozart」は客引きのための偽タイトルで、「Piano Spectacular」がまさしくこの日のメインコンセプト。ピアノが3台舞台上に置かれ、伊藤恵、野原みどりの豪華ゲスト陣らに加え、大植英次自らもピアノを弾き大活躍。

 前半はモーツァルトの作品もありましたが、やはりメインはストラビンスキー「春の祭典」ピアノ版(野田将と大植英次による)です。さらにアンコールではホルスト「惑星」もピアノ版(4人のピアニストによる)で、火星と木星を聴くことができました。大植英次さんがさかんに強調されていましたが、これらのピアノ版は、もう生涯聴くことがなさそうな、かなり珍曲の部類だと思います。
 オーケストラの響きとはまた違った骨太の印象を受けました。とくに「春の祭典」「火星」ではピアノの打鍵のほうがリズムが際立ってくるように思えました。

 途中のサン=サーンス「白鳥」では、チェロの近藤浩志さんという方の艶やかな音色の演奏が素晴らしく、場内が水を打ったように静まり返りました。この時間が永遠に続いてくれたら!という至福感に包まれました。

 が何と言ってもこの日の最大の衝撃は、大植英次さんのトークです。初めて聞きましたが、そのキャラクターが面白すぎます。躁病の一種ではないかと思えるくらいのはしゃぎっぷりで、早口で何を言っているか半分くらいしか分かりませんでした。朝比奈隆さんのあの格調と180度違った軽薄さです。が、音楽に対する熱意と一生懸命さは伝わってきて、悪い印象ではありませんでした。