:オークション落札で別の本が届きびっくり

 オークションには波があるようで、興味を惹かれる本が見つからない時が続くこともあれば、ある日突然あちこちの出品者から続々と出てくることもあるという具合です。


 引越ししてしばらく入札しない日が続きましたが、久しぶりに3つの出品者に入札し、何事もなく落札できました。ところが驚いたことに落札した本とは別の本が届いたのです。こんなこともあるんですね。私は別にその本でも良かったんですが、落札した人に迷惑をかけると思って返品しました。200円の本で着払いが740円もしていましたから、出品者も間違えると大変です。

鈴木信太郎ステファヌ・マラルメ詩集考 上』(高桐書院、昭和23年9月、2000円)
 今回一番の収穫。上巻のみですが、そのうち下巻が見つかるという信念のもと(どうせ上巻も読まないだろうから下巻までたどり着かないという予感のもと)買っておきました。448ページもの大部の本です。なかなか格調高い造本です。装幀といい、中の活字、紙質すべてに上品さが漂っています。装幀は須田国太郎。箱にも本の表にもタイトルが印刷されていないので背表紙が写るように撮ってみました。

丸山薫『仙境』(青磁社、昭和23年3月、800円)
 こののんびりとした装幀は誰かと思えば、中川一政でした。肝心の詩は、タイトルから神秘的な雰囲気を期待していましたが期待はずれ。

川口篤著アポリネヱル作『オノレ・シュブラックの喪失外一篇』(白水社昭和8年12月、210円)
 ジイドなんかを訳している川口篤のかなり初期の翻訳。学生向けの対訳本です。他に「アムステルダムの水夫」を収録。上からかぶせるとフランス語以外の翻訳やカタカナの発音が隠れる厚紙が付録についている。昔も今も似たようなことをしていておかしい。
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中山省三郎『豹紋蝶』(湯川弘文社、昭和19年2月、300円)
福原清『催眠歌』(湯川弘文社、昭和19年2月、300円)
 この2冊は同じシリーズ。中山省三郎は名訳の誉れ高いロシア語翻訳者、時節柄戦争協力的な詩も混じっています。福原清は初めて知りました。多くを語ろうとせず短く抑えたなかに抒情が感じられ気に入りました。他に『不思議な映像』『ボヘミア歌』など面白そうなタイトルの詩集を出しています。

三好達治自選詩集『午後の夢』(白水社、53年3月、410円)
三好達治『卓上の花』(創元社、昭和27年5月、200円)→この本の筈が別の本『屋上の鶏』が送られてきました。


 奈良へ行った時もちいど商店街のF堂で下記の本を購入。
イヴリー・ギトリス井田博訳『魂と弦』(春秋社、00年4月、840円)