:古本友愛倶楽部東海例会報告他

 先週の土曜日に、関西本部メンバーがわざわざ名古屋方面に足を伸ばしてくれて、例会を持つことができました。


 「ロシアアヴァンギャルド展」を見に行こうというのがもともとの発起人の意図でしたが、案の定、展覧会はそこそこで(2名は展覧会に入らず景色のいいレストランでお茶してました)、結局古本屋めぐりと飲み食いが中心の会となりました。


 名古屋古書会館の古本市を皮切りに、鶴舞のY書店、D書店の2軒、私の住んでるO市の古本屋2軒、隣町のT市のBOOK-OFF1軒を回りました。


 このところオークションでパソコン画面のタイトルと写真でしか本を探せない毎日でしたが、久しぶりに書架に並んでいる古本を眺められ満足した一日となりました。


 この日の収穫は次のとおり。
立川春重『随筆 船の幻燈(うつしゑ)―巷説船史』(兼六館、昭和21年10月、520円)
竹山道雄『失われた青春』(新潮文庫昭和32年4月、250円)
堀口大學高村光太郎日夏耿之介堀辰雄訳『世界の名訳詩集』(三笠書房、72年3月、100円)
出口裕弘『風の航跡』(泰流社、昭和53年2月、300円)
『東海古書店地図帖ー愛知・岐阜・三重』(名古屋古書会館地図帖作成委員会、平成13年12月、100円)
倉阪鬼一郎『文字禍の館』(祥伝社文庫、平成12年11月、100円)
関川夏央『豪雨の前兆』(文春文庫、04年2月、100円)
倉橋由美子『よもつひらさか往還』(講談社文庫、06年3月、100円)重複していた。
玄侑宗久対談集『多生の縁』(文春文庫、07年1月、100円)



 立川春重『随筆 船の幻燈(うつしゑ)―巷説船史』はなかなか面白そうな本です。「鎧を着たような堅い造船学の講義が、寄席で笑いながら聞けたら」というのがコンセプトの本で、たしかに、文章は語り口調で、川柳、都々逸、歌舞伎のせりふや江戸時代の書物の引用が散りばめられ、話は脱線に次ぐ脱線のようです。



 出口裕弘『風の航跡』はあまり見たことのない本。装幀は柄沢斉(この頃は柄澤齋という表記ではないようだ)。読書評等評論・エッセイを収めている。


 最近のオークション落札品は次のとおり。
「本の手帖 特集:エロスへの招待」(昭森社、63年2月、350円)
「本の手帖 特集:作家と画家の交流」(昭森社、65年2月、350円)
「本の手帖 特集:文学とエロティスム」(昭森社、65年7月、350円)
「本の手帖 特集:続処女詩集」(昭森社、68年12月、350円)
村上菊一郎『エッセイ マロニエの葉』(現文社、昭和42年9月、770円)
鈴木信太郎『フランス詩法下』(白水社、78年4月、1600円)
横張誠『侵犯と手袋―『悪の華』裁判』(朝日出版社、昭和58年5月、300円)
テオフィル・ゴーチェ井村実名子訳『若きフランスたち―諧謔小説集』(国書刊行会、99年7月、1700円)


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 鈴木信太郎『フランス詩法下』は、ながらく上巻のみ持っていて、下巻を探していました。上巻は50年発行、300ページと少し、東京K百貨店の古書市で300円という奇跡的な値段で購入していたものです。今回の下巻は少し高くなりましたが、78年発行第3刷で、500ページの大冊でずっしりと重く、見た目も大変きれいな本です。


外函 本体
 村上菊一郎『エッセイ マロニエの葉』は造本がとても魅力的です。内容もフランス紀行、文人の思い出など軽い読み物のようで楽しみです。



横張誠『侵犯と手袋―『悪の華』裁判』は「エピステーメー叢書」の中ではあまり見かけない本。これだけ『悪の華』裁判に特化して書かれた本はなさそうなので、これも楽しみです。