:再び仏書に挑戦 Pierre Very(ピエール・ヴェリィ)『LEONARD ou les delices du bouquiniste(レオナールー古本屋の悦楽)』

ikoma-san-jin2008-09-21


 むかし古本市で、bouqinisteの意味も分からずに、表紙の雰囲気と裏表紙の半分ぐらいしか分からない作家経歴だけで購入したもの。後で分かったのは、本人は推理作家と言われるのを嫌ったらしいが、日本でも幾つか翻訳されている推理小説を中心に書いており、幻想的な小説も幾つかあるようで、若い頃、インドへ行こうとしてマルセイユで捕まり、異国への憧れを持ちながら、パリで古本屋を経営していたらしい。

 今回の読書は、文章自体は短いのだが、知らない単語が頻出して、かつ文章に飛躍が多く、意味不明のまま読み進めるという状態、ところどころ分かる部分があったので一息つき、また古本をめぐる話なので何とか想像力でしのいで、何とか最後まで読み終えた。が努力の割にはそんなに面白いものではなかった。

 この作品の初めての出版は1946年だが、書いたのは1928年で、作者28才、まだ1冊も自作を出版していなかった時である。レオナールという作者の分身と思われる男が主人公で、彼以外固有名詞をもって登場する人物がいない。小説というよりモノローグ、随筆というべきか。幾つかの短い章に分かれており、レオナールの子ども時代から始まり、生い立ち、古本屋になってからの客とのやり取りなどが描かれている。古本エッセイというのは最近の日本でこそブームになっているが、諸外国では珍しいことではないだろうか。

 内容は、幼き日の読書の話、ジゴマやロカンボールが出てくる。店を持つこと。愛書家にとっての三悪との戦い―汚す、角を折る、書き込みをする。カタログづくり。万引き。好色本売りの話。変わった客との売り買いのやり取り。田舎への古本買い付け旅行など。とぐらいしか書けないほど、覚えていない。もともと読んでいる時にも理解できていたか疑わしい。これでは読まなかったのと同じだ。