この5〜6年ヨーロッパの大衆音楽を継続的に聴いています。
もとはヴァイオリンが好きだったところから、ジプシー音楽のヴァイオリンを聴き始め、どんどん拡がっていったものです。
最近はまっているのが、ギター系の楽器で、撥弦、打弦楽器というのでしょうか、ポルトガルギター、バラライカ、ツィンバロンなど。
このCDは、8年ぐらい前ベルギーへ行ったときに闇雲に買ったCDのうちの一つです。制作もベルギーで行なわれたようですが、内容はロシアンジプシー音楽とでも言うのでしょうか、楽器もヴァイオリン、アコーディオン、ギターに加えて、バラライカが入っており、楽曲もロシアの雰囲気が濃厚です。
とりわけバラライカが加わったテンポの遅い曲では、バラライカのトレモロが何とも哀愁を帯びて、おじさんの心をくすぐります。
この哀愁は何かと考えてみたら、何と言うことはない子どもの頃聴いていた「雪の降る街を」の感傷とどこか通じるものがあるみたい。もう少し大人びた哀愁ですが。
トレモロというのは短い音しか出ない撥弦楽器が長く続く音を表現するための一つの技法です。私がヴァイオリンを好きになったのは、ピアノやギターなどの途切れ途切れの音にはない、人間の声に似た長い艶やかな音の魔力に惹かれてだったのですが、このトレモロは長い音の代用という以上に、新たな魅力、独特の表情があります。
これはバラライカが凄いぞと思って、バラライカのCDを買って見ましたが、これが期待はずれでした。
魂は楽器に宿るものではないようです。