最近読んだ本

佐藤正彰のボードレール関係二冊

佐藤正彰『ボードレール雑話』(筑摩書房 1974年) 佐藤正彰『ボードレール』(筑摩書房 1956年) これまで読んで来たボードレール関連本がどちらかと言えば全体像を概観したものであったのに対し、この二冊は主として研究史的な視点から書かれています。『…

齋藤磯雄『ボオドレエル研究』

齋藤磯雄『ボオドレエル研究』(三笠書房 1950年) 自らも『悪の華』を日夏耿之介風のゴシック浪漫詩体で訳している齋藤磯雄のボードレール論を読んでみました。本人のボードレールへの全面的な心酔がいたる所に感じられ、人柄が濃厚に感じられる読み物とな…

辰野隆『ボオドレエル研究序説』

辰野隆『ボオドレエル研究序説』(酣燈社 1951年) 20年前に一度読んだ本。まったく覚えていないので、新鮮な気持ちで読めました。前回読んだ矢野文夫/長谷川玖一『ボオドレエル研究』と比べて、文章が引き締まって理路整然としている印象があります。原詩を…

矢野文夫/長谷川玖一『ボオドレエル研究』

矢野文夫/長谷川玖一『ボオドレエル研究』(叢文閣 1934年) ボードレールについての本を続けて読んでいますが、いよいよ日本人の著作に移ります。時代的に古いと思われるものから。巻末に「ボオドレエル書誌」があり、それを見ると、ボードレールについての…

ポーとボードレールについての二冊

パトリック・F・クィン松山明生訳『ポオとボードレール』(北星堂書店 1978年) 島田謹二『ポーとボードレール―比較文學史研究』(イヴニング・スター社 1948年) たしか中学生の頃にポーとボードレールを読んで、ポーについては「盗まれた手紙」とかの推理…

ボードレール論3つ

ピエール・エマニュエル山村嘉己訳『ボードレール』(ヨルダン社 1973年) ピエール・ジャン・ジューヴ道躰章弘訳「ボードレールの墓」(『ボードレールの墓』せりか書房 1976年) フーゴー・フリードリヒ飛鷹節訳「ボードレール」(『近代詩の構造』人文書…

フランス文人のボードレール論

ヴァレリー佐藤正彰訳「ボードレールの位置」(『ヴァレリー全集7』筑摩書房 1973年) プルースト鈴木道彦訳「ボードレールについて」(『プルースト文芸評論』筑摩書房 1977年) ジャン=ピエール・リシャール有田忠郎訳「ボードレールの深さ」(『詩と深さ…

ドミニック・ランセ『ボードレール』

ドミニック・ランセ鈴木啓司訳『ボードレール―詩の現代性』(白水社 1992年) 文庫クセジュの薄い本ですが、概説書だけあって全般に目を届かせていて、かつ内容はしっかりしてとても充実しておりました。まず簡単に生涯を追い、次いで文学史上でボードレール…

ビュトール『ボードレール』

M・ビュトール高畠正明訳『ボードレール』(竹内書店 1970年) アンチ・ロマン作家によるボードレール論。さすがに作家らしく、評論として、とてもユニークな構成を採用していて、ボードレールが1856年3月13日に友人アスリノーに宛てた、前の晩に見た夢につ…

精神病理的観点からのボードレール論二冊

サルトル佐藤朔訳『ボードレール』(人文書院 1966年) 松井好夫『ボードレール―生涯と病理』(煥乎堂 1969年) 今回は、ボードレールの生涯を精神分析的視点で追った評論を読みました。サルトルのボードレール論は、詩作品にはほとんど触れず、手紙や覚書を…

ボードレール論二冊

ゴーティエ田邊貞之助譯『ボードレール論―附・ゴーティエ論』(創元社 1948年) アルベエル・チボオデ笹森猛正譯『ボオドレエル論』(白水社 1941年) 本国の人たちによるボードレール論。ゴーチェはボードレールと10歳上で親交があり、『悪の華』の献辞も受…

ボードレールの概説書二冊

セシェ/ベルトゥ齋藤磯雄訳『ボードレールの生涯』(立風書房 1972年) パスカル・ピア福永武彦訳『ボードレール』(人文書院 1966年) ボードレールについての本を読んでいこうと思いますが、まずは、海外の翻訳本から。ボードレールについての基本的な情報…

横張誠『侵犯と手袋』

横張誠『侵犯と手袋―「悪の華」裁判』(朝日出版社 1983年) ボードレールを続けて読もうと思いますが、手始めとして「悪の華」裁判に焦点を当てた本を取り上げました。「悪の華」詩篇が雑誌に掲載され始めてから、『悪の華』が出版され、裁判が終わるまでを…

フランス詩の本二冊

宇佐美斉『フランス詩 道しるべ』(臨川書店 1997年) 谷口正子『フランス詩の森―神を探した詩人たち』(国書刊行会 1999年) これからボードレールに関連した本を読んでいこうと思います。まずフランスの近代詩についての概説本から読んでみようと、無作為…

岩﨑昇一の詩集二冊

岩﨑昇一『無みする獣』(日本図書刊行会 1997年) 岩﨑昇一『藍染の家』(ふらんす堂 2011年) 以前、『無みする獣』を買ったとき、簡単な感想を書いたら、著者の方からお礼のコメントをいただきました(2014年10月18日記事参照)。今回、イロジスム(非論…

幻想美術の入門書

千足伸行監修、冨田章、新畑泰秀『すぐわかる画家別幻想美術の見かた』(東京美術 2004年) 本は手元にずっと置いておきたいという性分なので、ずっと図書館での貸し出しは利用しなくなっていましたが、最近ある用ができて他の本を借りたときに目に留まった…

土方巽の4冊

函中 土方巽『病める舞姫』(白水社 1983年) 土方巽/合田成男ほか「極端な豪奢・土方巽リーディング」(UPU 1985年) 土方巽『美貌の青空』(筑摩書房 1987年) 土方巽/筆録吉増剛造『慈悲心鳥がバサバサと骨の羽を拡げてくる』(書肆山田 1992年) 前回読…

吉岡実の詩集二冊

『吉岡実詩集』(思潮社 1968年) 『新選吉岡実詩集』(思潮社 1978年) 引き続いてイロジスムの詩、これも学生時分に心酔していた吉岡実です。シュルレアリスム詩と言えばいいのでしょうか、その手の難しさがあります。初期の詩について本人も北園克衛が格…

谷川雁『大地の商人』

谷川雁『大地の商人』(母音社 1954年) イロジスム(非論理性)の観点から詩を読んでいます。前回取り上げた石原吉郎と同様、若き日情熱を燃やした谷川雁の詩を再読してみました。この本は最近、と言っても今から10年ほど前に買ったものです。昔読んでいた…

石原吉郎の三冊

「現代詩読本 石原吉郎」(思潮社 1978年) 『石原吉郎詩集』(思潮社 1969年) 『新選石原吉郎詩集』(思潮社 1979年) 日本の現代詩の続き。イロジスムの観点から、高木敏次や貞久秀紀の先達である詩人たちを読んでいきたいと思います。まずは石原吉郎から…

イロジスムの詩集二冊

髙木敏次『私の男』(思潮社 2015年) 『貞久秀紀詩集』(思潮社 2015年) 定年後に、学生時分によく読んでいた日本の現代詩をまた読み始めましたが、なかなか昔のようには心に突き刺さるような詩が見当たりません。私の知らないだけで、なかには気に入る詩…

小林康夫ほか『「光」の解読』

小林康夫ほか『「光」の解読』(岩波書店 2000年) 引き続いて光についての本です。「宗教への問い」というシリーズの中の一冊。小林康夫「祈りのコロナ」、小池寿子「闇から光への上昇」、大貫隆「ロゴスの受肉とソフィアの過失」は分かりやすく、感心する…

暗さについての本二冊

乾正雄『夜は暗くてはいけないか―暗さの文化論』(朝日選書 2004年) 谷崎潤一郎『攝陽隨筆』(中央公論社 1935年)のなかの「陰翳禮讃」のみ 光の哲学について読んだ後は、現実の空間における暗さについての本です。乾正雄の『夜は暗くてはいけないか』で、…

光に関する哲学書二冊

山崎正一『幻想と悟り―主体性の哲学の破壊と再建』(朝日出版社 1977年) H・ブルーメンベルク生松敬三/熊田陽一郎訳『光の形而上学―真理のメタファーとしての光』(朝日出版社 1977年) どちらも「エピステーメー叢書」なので本の装丁は同じ(たぶん杉浦康…

随想風哲学書二冊

庭田茂吉『ミニマ・フィロソフィア』(萌書房 2002年) 山内得立『ホモ・ヴィアトール―旅する人』(能仁書房 1958年) 哲学書らしきもののなかから、あまり哲学用語が出てこない随想風の本を選んでみました。『ミニマ・フィロソフィア』は、タイトルにフィロ…

原章二『人は草である』

原章二『人は草である―「類似」と「ずれ」をめぐる考察』(彩流社 2013年) ローデンバックの『死都ブリュージュ』についての章があったので購入した本。著者はジャンケレヴィッチに学んだ哲学者です。全編、オリジナルとコピー、類似と差異に関連した文章が…

辻昌子『「ジャーナリスト作家」ジャン・ロラン論』

辻昌子『「ジャーナリスト作家」ジャン・ロラン論―世紀末的審美観の限界と「噂話の詩学」』(大阪公立大学共同出版会 2013年) 何年か前にジョルジュ・ノルマンディ、先日はオクターヴ・ユザンヌと、本国のジャン・ロランに関する本を読んだ流れで、手元にあ…

A・デュマ『王妃マルゴ』

A・デュマ榊原晃三訳『王妃マルゴ 上・下』(河出文庫 1994年) 奈良日仏協会のシネ・クラブで、シェロー監督『王妃マルゴ』を鑑賞するというので、ドイツ旅行の行き帰りの機中で原作を読んでみました。これまでデュマ作品は、フランス語で『Mille et un fan…

マイヤー=フェルスター『アルト=ハイデルベルク』

マイヤー=フェルスター丸山匠訳『アルト=ハイデルベルク』(岩波文庫 1980年) 実は1週間ほどドイツへ旅行に行っておりました。ハイデルベルクも行程に入れたので、出発前にこの本を読んでみました。学生のころ文庫本でよく見かけましたが、あれは角川文庫…

ボルノウ『気分の本質』

O・F・ボルノウ藤縄千艸訳『気分の本質』(筑摩叢書 1973年) このところパソコンが壊れて暗い気分になっておりますが、それでこの本を取り上げたわけではなく、この本を読んだのはまだ壊れる前のことで、感覚やリズム、身体など哲学の周縁的な問題への一連…